NPO法人ヴェーダビージャム

白湯の作り方──アーユルヴェーダの古典に伝わる「その先」

白湯(さゆ)は、やかんがひとつあれば今日から始められる、いちばん身近な習慣です。

でも、「白湯」と聞いて思い浮かべるものは、人によってずいぶん違うかもしれません。辞書を引くと、白湯とは「真水を沸かしただけの湯」(小学館デジタル大辞泉)とあります。定義はとてもシンプルで、温度も、沸かす時間も、細かくは決まっていません。

だからある人にとっては電子レンジで温めた一杯かもしれないし、別の人にとっては、やかんでコトコト沸かした一杯かもしれません。

白湯は「さゆ」「しらゆ」「はくとう」「パイタン」と読みが分かれ、読みによって意味が変わります。「パイタン」と読めば鶏ガラや豚骨を煮込んだ白濁スープを指します。同じ「白湯」の二文字でも、これだけ発想が割れる単語です。

雨に豪雨も霧雨もあるように、同じ「白湯」という言葉でも、思い描くものは実にさまざまです。

ところでアーユルヴェーダの世界に一歩入ると、この「白湯」がおどろくほど奥行きのあるものだと分かります。温めただけのお湯と白湯ははっきり区別され、沸かし方や温度に意味が与えられ、さらに古典には「煮詰めてつくる白湯」まで登場します。

このページでは、白湯の作り方とその先にある、アーユルヴェーダの古典に伝わる白湯の考え方までご案内します。

白湯とお湯は同じではありません

白湯(ウシュノーダカ)の作り方を説明するサンディープ先生お湯は、水を温めたものです。一方、白湯は、水を一度しっかり沸騰させ、そのまま10〜15分ほど沸かし続けると良いとよく言われますが、これは近年の通例で、古典書に時間が定められているわけではありません。

作る時のポイントは

  • 蓋を開けて沸かす
  • 水で薄めず、自然に冷ます
  • 沸かし直しはしない

 

などが挙げられます。「温める」と「沸かし続ける」。この違いは、味にそのまま表れます。水道水に含まれる塩素などは沸騰とともに揮発していくため、しっかり沸かした白湯は口当たりがやわらかく、ほのかな甘みさえ感じられます。電気ポットのお湯と、やかんで時間をかけて沸かした白湯を飲み比べると、同じ水から出発したとは思えないほど印象が変わります。

沸かすだけではない──古典に伝わる「煮詰める白湯」

「ただ温める」のではなく「しっかり沸かす」ことが大切にされてきましたし、温度についても、古典は丁寧です。サンスクリット語には、ぬるめの温かさを指す「コーシュナ(koṣṇa)」という言葉があり、煎じ液を飲むときの温度の目安として古典に登場します。「どのくらい温かいか」が、それ自体ひとつの主題として扱われてきたのです。

ここからは、日本ではほとんど紹介されていない部分です。

アーユルヴェーダの古典には、水を沸かすだけでなく、元の量の2分の1、4分の1、8分の1といった決められた量まで煮詰めてつくる白湯が登場します。サンスクリット語で「ウシュノーダカ(uṣṇodaka)」と呼ばれ、煮詰める度合いによって白湯の性質が変わるため、その人の体質や季節、そのときの状態に合わせて選ぶ、と古典では説明されています。

つまりアーユルヴェーダにおける白湯は、「温かいお湯」というひとつの飲みものではなく、つくり方によって使い分ける、奥行きのある体系なのです。

どの煮詰め方をどんなときに選ぶのかは、体質の見立てと結びついた専門的な領域にあたります。私たちはこの部分を、インドの伝統医の解説とともに、講座などの学びの場で丁寧にお伝えしていきたいと考えています。

 

インドの医師から、白湯だけで2時間の講義を受けました

週末宿泊型プログラムでインド人医師の講義を聞く2026年6月末に開催した宿泊型プログラム(Step1)では、11代にわたってアーユルヴェーダ医療を継承する家系の医師を日本に招き、講義と実践の時間を持ちました。

そのなかで、白湯というテーマひとつに、まるまる2時間の講義がありました。作り方はもちろん、沸かす容器の材質による違い、飲み方まで。実践として3種類の白湯の飲み比べも行い、同じ水から出発しても、つくり方で味わいがはっきり変わることを、参加者全員で体験しました。

このときの様子は、活動報告「Step1宿泊型プログラム開催しました」もご紹介しています。

まずは、自分の体質の傾向を知ることから

白湯を「使い分ける」という古典の発想の出発点は、自分自身の体質を知ることにあります。

アーユルヴェーダの体質の考え方(ドーシャ)については、アーユルヴェーダとはのページでご紹介しています。ご自身の傾向を知る手がかりとして、体質セルフチェックもご利用いただけます。

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